4.電気代削減効果推計データ

ケミカルカチオン・パック工法の屋根の遮熱性能の検討

印刷して読む方はこちら(PDF)

平成17年5月16日
九州大学大学院
総合理工学研究院

教授・林 徹 夫

九州大学大学院総合理工学研究院 〒816-8580 福岡県春日市春日公園 6-1
エネルギー環境共生部門 電話(直通)    092-583-7645 
九州大学大学院総合理工学府 研究室 Tel&Fax  092-583-7627
環境エネルギ-工学専攻 E-mail:hayashi@hrmbox.eee.kyushu-u.ac.jp

 

はじめに

 折板鋼板およびスレート屋根にケミカルカチオンを塗布した効果をシミュレーションにより検討する。まず、分光光度計により表面の日射反射率を測定し、各材料の日射吸収率を求める。次に

傾斜面への入射日射量から相当外気温度1)を求め、屋根の熱貫流率から貫流熱量を求める。計算対象期間は7~9月とし、9~17時の1時間間隔の計算である。ケミカルカチオンを塗布した場合と現状のままを比較し、その貫流熱量差から省エネルギー性能を比較する。

 注1)渡辺俊行,林徹夫:建築環境工学第4章「日射と日照」158ページ,森北出版


 

1.日射吸収率の測定

 分光光度計(日立:U-3500型自記分光光度計)に60φ積分球を設置し、資料の波長別半球積分反射率の測定結果からJIS R3106-1998に準拠して日射反射率を求める。不透過性の資料であるから、1から日射反射率を引いて日射吸収率とする。

 写真1-1に分光光度計を、写真1-2に測定試料を示す。試料は折板鋼板(灰色塗装)、ケミカルカチオン塗装、スレート(無塗装)の3種で、各種とも3cm角の試料3個を用意した。


 

           写真1-1 日立:U-3500型自記分光光度計

           写真1-2 測定試料

左列より、折板鋼板(灰色塗装)、スレート、ケミカルカチオン


 

 表1-1に測定結果を示す。この結果から日射吸収率は折板鋼板(灰色塗装):0.80、ケミカルカチオン:0.15、スレート(無塗装):0.80とする。

 参考のため、各資料の分光反射率測定結果を図1-1に示す。

表1-1 日射反射率および日射吸収率測定結果

試料折板鋼板(灰色塗装)ケミカルカチオンスレート(無塗装)
日射反射率(%)サンプル①   20.05   85.05   19.38
サンプル②   19.98   84.84   19.23
サンプル③   19.88   84.78   20.20
平均日射反射率(%)   20.   85.   20.
日射吸収率   80.   15.   80.

(1) 折板鋼板(灰色塗装)

(2) ケミカルカチオン

(3)スレート(無塗装)

図1-1 分光反射率


 

2.相当外気温度と熱貫流率による屋根貫流熱量の計算

2.1 計算対象地域

 熊本県八代市(北緯32度28.3分、東経130度36.6分)を対象とし、EA(Extended AMeDAS)気象データ2)の標準年データからHASP形式の気象データを作成し、計算用の気象データとする。直散分離には渡辺の式を用いた。

 注 2)赤坂裕ほか:拡張アメダス気象データ,日本建築学会

2.2 相当外気温度

 相当外気温度は次式で定義される。

   :日射吸収率,  :天空率
   :入射日射量 [kcal/m2h],  :夜間放射量 [kcal/m2h]
  :外表面総合熱伝達率 [kcal/m2hK],    :放射率

である。また、貫流熱量は屋根の熱貫流率をとして

  :熱貫流率[kcal/m2hK], :貫流熱量[kcal/m2h], :室内空気温度[℃ or K]

となる。一方、入射日射量は次式で求める。

 入射直達日射量 [kcal/m2h] ,入射拡散日射量 [kcal/m2h]  
 入射反射日射量 [kcal/m2h] ,法線面達日射量 [kcal/m2h]  
 水平面拡散日射量 [kcal/m2h] ,水平面全天日射量 [kcal/m2h]  
 日射射角,太陽高度角, 太陽方位角
 対象面の傾斜角,対称面の方位角,地表面の反射率(アルベド)

また、夜間放射量は外気温度を[K]、大気放射量を [kcal/m2h]とすれば、次式となる


 

2.3パラメーターの設定

 計算に使用したパラメーターを列記する。

 外表面総合熱伝達率 20. [kcal/m2h]   
 内表面総合熱伝達率 8. [kcal/m2h]   
 熱伝導率 [kcal/mhK]鉄(折板);41. フェルトン;0.114
  グラスウール;0.034ジプトン;0.183
  スレート;1.1木毛板;0.127
  密閉空気層熱抵抗;0.16 [m2hK/kcal]
  非密閉空気層熱抵抗;0.08 [m2hK/kcal]
 室内空気温度  28.℃ 一定   
 地表面の反射率 0.3   
 日射吸収率  ケミカルカチオン塗布面 0.15
  折板鋼板(灰色塗装)  0.80
  スレート(無塗装)  0.80
 放射率        :全材料 0.9 で一定

 

3.計算結果

 水平投影面積10,000m2の4種類の屋根を比較する。

3.1屋根の構成

 下記の4種類の屋根を想定する。①および②は折板屋根で水平を想定した。③および④はスレート屋根で南北に二分された勾配2/10を持つ。

 ①:折板鋼板(0.8mmt)+フェルトン(3mmt)
 ②:折板鋼板(0.8mmt)+フェルトン(3mmt)+非密閉空気層+グラスウール(50mmt)
   +ジプトン(9mmt)
 ③:スレート(6mmt)
 ④:スレート(6mmt)+密閉空気層+木毛板(30mmt)

各屋根にケミカルカチオン・パック工法を施す場合、

 (1)浸透プラマー(約20μmt、溶剤型ウレタン樹脂)
 (2)カチオン主材(約3mmt、セメント系パウダー+アクリル樹脂エマルジョン)
 (3)トップコート(約100μmt、溶剤型アクリル樹脂塗料)

を施工するが、(1)および(2)は薄いので熱抵抗を無視、(2)についてのみモルタルと同程度の熱伝導率を仮定した。

3.2屋根の単位面積貫流熱量

 表3-1に各屋根の7~9月(9~17時)の単位面積貫流熱量を示す。

表3-1屋根の単位面積貫流熱量

 単位面積貫流熱量[kcal/m2]
7月8月9月7~9月合計
種別
3514213381782437112328619575879138791300081045850350399
39924142014422263422121001570147092166185697
③南39482384719898425126465222141105165181541393046683057525
③北3846232921944539742493220958834140181318486556224253587
④南20991264010541225914028117685888755816849453542330477
④北20441234610301211213215111034437430698746003299128391
3.3省エネルギー効果の比較

 水平投影面積10,000m2の屋根を想定してケミカルカチオン・パック工法の省エネルギー効果を算定する。計算期間は7~9月とし、休日は考慮していない。表3-2に結果を示す。同表には空調機のCOP(成績係数)を4とした場合の電力削減量、電力削減量から求めた二酸化炭素排出削減量 (換算係数0.309kg-CO2/kWhを使用)を示す。

表3-2省エネルギー効果(7~9月,9~17時の積算)

種 類エネルギー削減量
[Mcal]
電力削減量
[kWh]
二酸化炭素排出
削減量[kg-CO2]
① 折板 屋根50399014650945271
② 折板+断熱材56970165615117
③ スレート 屋根55556016150049904
④ スレート+木毛板 屋根2943408556426439

 

印刷して読む方はこちら(PDF)

 

TOPへ

塗料を選ぶポイント

古いスレート屋根の強度を新品同様にします。遮熱・断熱で涼しく、さらにアスベストも封じ込めます。

金属屋根用の遮熱塗料なら、ドコモ様に正式採用された防錆塗料を改造した他社と比較して圧倒的に安い新商品(材工費約3000円/㎡)があります。

新聞・雑誌で紹介されました。